「近世後期芸北地域における河川交通の実態~太田川水運の一事例から~」
近年,近世の交通という概念は,「モノ」や「ヒト」の場所的移動のみならず,情報や通交,思想・文化の交差を含む時間的・空間的次元の移動という広い視野から捉えることが要請され,地域史研究にも不可欠な研究課題となっている。近世後期芸備地域にそれら視点を導入するための基礎作業として,芸北太田川奥筋を対象地域に,新たな史料を加えつつ,河川舟運に関わる藩権力・船持株仲間・新興勢力の動向を段階的に再検討した。また,近世河川交通からみる地域史構築に関する課題の提起も試みた。
『広島経済大学研究論集』
第25巻
第3号