日本近代における葉煙生産と葉煙草専売制の展開と地域社会への影響について、葉煙草の一大産地であった広島県備後府中地域を主な対象に考察した。第1章では、明治時代の葉煙草専売制の前提となった江戸時代後期における備後地域の葉煙草生産の実態を検討した。第2章では、明治時代における葉煙草生産・流通と煙草製造について、備前地域を対象にその具体的事例を検討した。その上で葉煙草専売制の地域的運営のあり方を、備後府中専売支局関連の史料に基づき実証した。また、葉煙生産・葉煙草専売と地域社会との問題追及に必要な視点(課題)についても論究した。