インドネシア共和国における高校カリキュラムに大きな変革がもたらされたのが、2004年国家指導要領の「コンピテンシ(Competency、学識の運用、実行などの能力)に基づくカリキュラム」の施行で、教科・内容・配当時間・必修区分において、科目「地理」の強化がはかられた。このカリキュラムで「地理」は、普通科IPS(社会科学=文系に相当)で経済学・社会学に並ぶ専門科目としての地位を得て、重要な科目として位置づけられている。この背景にある、①発展と環境の両立を目指す「持続可能な開発」の問題、②アチェ州の津波災害からの復興など大きなテーマに学習者の視点が向いていること、③高卒者が地域の実務者として環境政策への関与が義務付けられていること、など、インドネシア独自の事情を説明した。