文読解時間に与える統語構造と格助詞配列順序の影響―「ヲ格目的語動詞使役文」と「ニ格目的語動詞使役文」との比較
本研究では、日本語の文のヲ格・ニ格の直線的配列順序と統語構造の複雑さが文読解時間に与える影響を調べるために、使役文を用いた反応時間測定実験を行った。その結果、格助詞(ニ、ヲ)の配列順序に関わらず、統語構造が単純な語順よりも統語構造が複雑な語順のほうが読解時間が長くなることが明らかになった。これによって、Koizumi & Tamaoka (2004) の結論(「三項動詞文は動詞の種類に関わらず、ガニヲが統語的な基本語順である。」)の妥当性が高まったといえる。小泉政利・玉岡賀津雄・宮岡弥生
日本言語学会第129回大会(富山大学五福キャンパス)