本研究では、韓国語を母語とする日本語学習者に対して漢字二字熟語の書き取りテストを実施し、漢字二字熟語の記憶に対する①語彙使用頻度、②学習者の日本語能力の高低、③日本語と韓国語の語彙の音韻的類似性の影響を検討した。分析の結果、①語彙使用頻度については、同じ漢字であっても、高使用頻度語彙に含まれた場合のほうが低使用頻度語彙に含まれた場合よりもテストの得点が高く、漢字二字熟語の記憶に対する語彙使用頻度の影響が見られた。②学習者の日本語能力については、語彙力の高いグループのほうが、低使用頻度語彙の記憶において特に優れていた。③音韻的類似性は、漢字二字熟語の記憶に対する影響が見られなかった。以上の結果から、韓国語を母語とする日本語学習者は、日本語母語話者と同様に、日本語の漢字二字熟語を一字単位ではなく二字単位で捉えて記憶している可能性があることが明らかになった。宮岡弥生・玉岡賀津雄・林炫情・池映任