中国語母語話者は漢字の知識があるため、日本語の理解において韓国語母語話者よりも有利であると言われている。一方、韓国語母語話者は、文法の理解において中国語母語話者よりも有利であると考えられる。これまで、中国語母語話者と韓国語母語話者の日本語の理解を、全体的に捉えて直接比較した研究はほとんどない。そこで本研究では、ペアマッチサンプリングの手法を用いて、①長文理解、②学習期間、③性別、④年齢の4要因を統制し、日本語を学習している中国語母語話者と韓国語母語話者を各80名比較した。SEM(共分散構造分析)を用いて短文理解に対する語彙知識と文法知識の因果関係を分析したところ、中国語母語話者は短文理解において語彙、特に漢語知識への依存度が高く、韓国語母語話者は語彙知識と文法知識の両者をバランスよく用いているという結果が得られた。Tamaoka, K., Miyaoka, Y., Lim,H., Kim, S., & Sakai, H.