聞き手としての日本人から見て適切だと感じられる外国人発話者の待遇表現を明らかにするために、質問紙調査を行った。調査は、初対面と親しい間柄の2つの場面について、年上と年下の外国人女性が、「行くの」、「行くんですか」、「行かれるんですか」、「いらっしゃるんですか」という表現を使った場合の適切度を5段階で中国地方在住の日本人が評定するというものである。調査の結果、最も待遇価値の高い「いらっしゃるんですか」は、すべての状況において最も適切な表現とは捉えられていないこと、「行くの」を外国人が初対面で使っても日本人は寛容に受け取っていることなどが明らかになった。これらの結果は、狭義の敬語表現ばかりでなく、待遇価値と心理的な距離感の視点から待遇価値を広く捉え、状況に応じた待遇表現指導をしなくてはならないことを示唆している。宮岡弥生、玉岡賀津雄、浮田三郎
共同研究につき本人担当部分抽出不可能