本研究は、漢字一つで書かれる接頭辞と接尾辞の違いを、1985年から1998年の14年間の朝日新聞の語彙コーパス(天野・近藤, 2000)を使って検討した。右側主要部の規則(right-hand head rule)によると、接頭辞は多様な名詞に付き、接尾辞はある程度決まった名詞に規則的に付く傾向があると予想される。頻繁に使用される12種類の接頭辞と12種類の接尾辞(合計24種類)を選んで、印刷頻度、名詞への付加数、付加数の積算、接辞使用率、一般性(commonality)、ヘルダンの重なり・延べの対数比、エントロピーの7集類のコーパス指標(特徴)を比較した。エントロピー以外の6種類の特徴については、マン・ホイットニーのUテストで検討したが、接頭辞と接尾辞に有意な違いはなかった。しかし、t検定(一般統計の検定とは異なる)によると、接頭辞の方が接尾辞よりもエントロピーが高かった。この結果は、接頭辞は接尾辞よりもより不規則に名詞に付加されていることを示している。本研究は、単純なコーパス指標では証明されなかったが、エントロピーという総括的な数学指標で、右側主要部の規則を指示する結果を得た。Miyaoka, Y., & Tamaoka, K.
共同研究につき本人担当部分抽出不可能