本研究は、改革・開放以降、中国中央政府が東北部に集積している数多くの「重厚長大」型の国有企業に対して、どのような手法で「東北現象」を解決してきたかについて、長春半導体工場を事例として現地調査をもとに分析を行った。その結果、国は自ら国有企業の負債を清算するために、個人も参入できる株式制を導入したこと、そして、都市内の元国有企業の用地、住宅、設備などの資産は、国家-企業-土地とつらなる物的な関係の徹底的な破壊と、国有企業に所属する資産がバラバラに分解された上で売り出されたという「スクラップ・アンド・ビルド」現象を発生したことなどを明らかにした。また、都市構造が、従来の「単位」としての、“職住統一型”生活方式から、日本や欧米のような“職住分離型”生活方式へと変化し始め、都市の土地利用も従来の工業を中心とした強制的な指令計画立地から、地域環境にもっとも相応しい自然合理的な立地に変化してきたことなどを明らかにした。