本研究では、中国の改革開放以降、工業化、都市化に伴って都市環境の悪化について検討した。特に、中国の都市における大量消費に伴ってインフラおよびエネルギー消費の実態に深刻な影響を与えているとともに、水の供給、下水処理、緑や自然空間の消失、都市のスプロール化、土壌汚染、交通渋滞、大気汚染、水汚染、騒音、ゴミ処理など様々な都市環境の問題が深刻化されていることについて論述した。また、中国の建国後から現在に至るまで、環境保護の歴史および法・政策の現状については、北川(2008)の中国環境保護の進展の5段階を照らし合わせながら、中国の環境法・行政法規の設立および変遷について考察した。 その結果、1978年の改革開放以降、中国政府は、経済開発・発展を力強く推進していた同時に、環境問題も徐々に重視し、中国の環境保護法および行政法規の整備を積極的に取り込んでいる。また、事例として、上海市政府の環境問題に対する認識、または環境汚染の改善・防止に関する対策が論じられた。 今後の課題としては、引き続き中国の環境保護の意識および環境問題の改善・防止の対策を注目する必要がある。またこれから行なう予定の上海市の現地調査を踏まえて、上海市の「緑色のオリンピック」と呼ばれる長期環境保護政策の効果や、上海市のゴミ分別の普及状況や、ビニール袋制限の効果などを調査し、これからの中国環境対策の改善を提案したい。