本研究では、空間経済学の視点から明朝から清朝末期に至るまでの中国東北部における地域経済開発や、都市経済構造の形成と変遷などについて考察した。その結果、19世紀初期の中国東北部は女真人の世界であり、狩猟、漁撈を主な生業としていたこと、また明、清時代の中国東北部には、軍事防衛、植民開墾など政策によって農業経済を中心とした経済構造が形成され、そして農民の移住に伴って商業資本も流れ込み、手工業と商業も発達したこと、さらに農業経済、商業経済の発展に伴って、従来の古都市と異なり、新たな軍事・商業機能を備えた都市が現れてきたことを明らかにした。