本研究は、中国東北部の諸都市を研究対象としている。そこでは、中国東北部における都市の生成、発展の歴史は中国一般のそれとはかなり違うことに着目して、その形成と変遷を研究している。その結果、次のような結論を得た。すなわち、中国東北部の都市は、奉天(現在の瀋陽)・牛荘(現在の営口)など南部の都市を除くと、一般に成立が新しく、19世紀末~20世紀初めのロシアおよび日本の植民地支配下で本格的成立をみたものであること、そしてその後、社会主義の重点建設都市として、工業的な性格が付けられたこと、さらに改革・開放後、東北部都市も改造を行ったこと、しかし、交通手段の不便のため、外国企業からの投資が遅れたこと、また、大型国有企業が多いため、改革が困難であったこと、これらの影響を受け、沿岸部都市との経済格差が拡大していることなどを明らかにした。