東アジアの歴史認識に関しては、最近でもさまざまな課題が問題として浮上しているが、旧植民地の私的土地所有権の確立について、台湾総督府が行った土地調査事業に対する評価が話題に上ることは多くない。本報告では、修士論文で扱ったテーマである、日本統治時代の台湾の財産権に関して多大な影響力を与え、戦後においても登記資料の接収を通じて、今なおその影響を残存し続けている近代的な土地登記制度の制定と、その前提として不可欠な近代的な土地所有権の確定について新たに考察を加え、私権としての所有権と公法上の納税義務との関係等、その問題点の根幹について論及した。