「作文教育における中学生の自己認識力の形成 ―文種による書き換えをとおして見えてくる中学生の自己対象化の特徴について―
中学生の表現が、自己表出型文章(生活文)から自己表出型でない文章(論理的文章・実用的文章・文学的文章)へと展開されるとき、どのように自己を対象化させるのか、その一端を明らかにするために、一人称主語で書かれた生活文を、意見文と創作文に書き換えさせた。その結果、意見文では読み手に正対し自己を顕在化する表現姿勢になるのに対して、創作では表現者としての自己が潜在化され文中の人物に寄り添うようになることが明らかになった。
「国語教育研究」 第54号(広島大学国語教育会)