論者が長年実践してきた意見文指導を学習者の認識の変容という点から分析したところ、論題の設定、材料の収集と選択、多様な意見の想起などに問題があることが分かった。その問題を解決するために、「異論を生じる可能性を秘めた題材の設定」「一括振り返り型の指導過程」「異なる立場からの考察」「反論の文体の活用」という指導仮説を立て、授業研究を行った。一次作文から二次作文へ書き換える中で反論するという活動を強化することによって、学習者の論理的思考が活性化するとともに、文章表現の多様化や精緻化、自己の対象化が促される過程を明らかにすることができた。