岑参の詩について-同一表現の多用-
・岑参の特異性の中で、同一表現、類似表現の多用について論じたのが本稿である。李白にも同一表現は多いが、習作と見なす方が妥当と考えられるのに対し、岑参の場合はそうではないことを明らかにした。句単位、詩全体で比較分析した結果、類似表現は公的な場での作品に多く、これは奇と評され、その詩を当時の人々が待っていたと伝えられる岑詩の、特徴的な表現であり、期待に応えた表現であったろうと結論づけたものである。
『日本中國學會報』第33集