岑参の「夢」
・岑参の詩は独自の発想に基づく独自の表現により「奇」と評される。唐代以前、唐代詩人達の用例を見る限り、李白以外は「夢」自体に関心が無い。李白の「夢」も移動するが、それは定型ともいえるのに対し、岑参の「夢」は、独立した形を持ち、独力で移動し、第三者として人の心を理解し、働きかけることもある。岑参の「夢」がこのように特異であるのは、塞外での孤独な体験や彼独自の捉え方によるものであることを検証した。
『国語科研究紀要』
第25号