明治期、備後地域における大地主の家的結合―広島県芦品郡戸手村信岡家を事例に―(査読付き)
本稿は、近代に名望家として活躍した家が、その背後でどのような社会的関係を構築していったのか、その関係がなぜ/どのタイミングで形成されてきたのかを解明した。分析事例としては、福山市の大地主・信岡家を取り上げ、婚姻関係や親分子分関係の形成過程を実証した。従来の研究史は、名望家としての活動それ自体に関心が払われてきたために、その動機が不分明であった。本稿はその動機に社会的関係を位置付けた意味がある。
史学研究
第270号