「救法」の村請―備後国福山藩領の義倉運営―(査読付き)
本稿は、近世における福山藩領の義倉運営を取り上げ、その特徴を近世村の持つ村請機能との関わりにおいて解明したものである。村請とは年貢納入を、個人ではなく村が責任をもって行う仕組みのことを指すが、実はその機能は、領主の判断次第で拡張されることができた。それは、義倉の資産運用や事業支出の局面で、領主の強制力により村が義倉運営に強力していたことから読み取れた。一方で、村請機能拡張の代償として、義倉は領主に毎年一定の支出を要請され、それが事業支出のかなりの部分を占めていたことも重要な発見であった。
農業史研究
第52号