近世後期瀬戸内農村における村内土地取引構造の研究―備後国芦田郡金丸村を事例に―(査読付き)
近世後期の農村社会では、土地が地主へ集中することが知られているが、一方で、土地を喪失した農民が積極的にそれを取り戻そうという動きがあったことも明らかになっている。本稿は、福山藩領の備後国芦田郡金丸村の歴史資料を掘り起こし、その中の土地取引関係文書を分析の中心に据えた。その結果より、村内の中下層レベルの農民達が活溌な土地取引をしていたこと、それが地主層への一方的な土地集中を防いでいたことを実証した。
社会経済史学
第78巻
第1号