在来製鉄業における鍛冶屋部門の長期経営分析―田部家を事例に―
在来製鉄業は、鈩部門による精錬と、鍛冶屋部門による加工の過程に分かたれているのが特徴である。従来の研究史は、専ら前者の分析に焦点を絞ってきたために、鍛冶屋の研究は手薄だった。本稿は、田部家文書の内、鍛冶屋部門に関わる資料を用いた実証研究である。分析手法としては、約100年分のデータ系列の復元を前提に、その経営の歴史的展開を解明した。その結果、鈩部門と鍛冶屋部門の生産動向不一致、経営パフォーマンスの長期的な低下を解明した。
広島経済大学経済研究論集
第37巻
第3号