大正期の芦田川洪水と福山義倉の救済(査読付き)
本稿は、大正8年に福山市の芦田川で起きた大洪水を取り上げ、そこで福山義倉がどのような救済をおこなっていたのかを問題としたものである。検討の結果として、次の諸点を明らかにした。災害発生から復興へのプロセスは、①人命救助・食料供与を中心とする初期救助、②生活基盤・インフラ再整備のための寄付活動に分けられる。義倉はこのうち、都市部では②の局面に関わり、農村部では①の局面を中心とした活動をすることで、地域社会が「日常」生活を取り戻すことを促していた。
芸備地方史研究
301・302合併号