本書は、アメリカ文学における「幸福の追求とその行方」の表象を、様々な視点から考察したものである。担当の第3部15章「幸福のレトリック-ハミルトン/『ハミルトン』が描いたアメリカ」において、物語執筆行為という視点からアレクサンダー・ハミルトンを解釈し、その歴史的営為をヒップホップ・ミュージカルとして異化した『ハミルトン』をメタシアターという文学理論を援用しながら読み解いた。作られた物語(=本質の無い理想)と国家との共振関係を浮き彫りにすることで、本作が分断のないアメリカ的コミュニティを生み出す契機となることを明らかにした。
(編著者:貴志雅之 共著者:西谷拓哉、西山けい子、中良子、新田玲子、武本憲昭、古木圭子、常山菜穂子、黒田絵美子、後藤篤、原恵理子、白川恵子、堀内正規、山本裕子、森瑞樹、中村善雄、岡本太助、渡邉克昭)