本発表では、Sweet Bird of Youthに見られる芸術文化的 シンボルとそれらの多様な緊張関係に着目し、テネ シー・ウィリアムズのナルシシズムや美学の源流、また その芸術的伝統更新の修辞学を明らかにすることを目的 とした。また同時に、視覚芸術メディアとしての演劇の 特性を踏まえ、上演されることで新たに発現するウィリ アムズの虚像を見定め、その芸術的位置付けを検討し た。その過程でウィリアムズの反体制的な創造のなかか ら、極めて個人的な美学、つまりは彼のナルシシズムを 拡充させる装置としての演劇の有り様も炙り出した。