近年、中小企業であっても社会や環境課題に貢献することが求められるようになった。本稿は、サステナビリティ志向が決して高くなかった小規模企業がサステナビリティ価値の訴求を行うに至るプロセス上の特徴やその際に生じる課題について検討することを目的とする。具体的には、ODM生産や卸売業者への販売を主要事業とする地方布団メーカーの事例について報告する。事例を通して、小規模企業におけるサステナビリティブランディングの1つの特徴として、サステナビリティ活動やコミュニケーション方法が柔軟に変化し、経時的にサステナビリティ志向が高まる傾向がみられた。また、組織内で担当者を分離できないことおよび自社の収益の安定化のために、サステナビリティ活動と企業ブランドおよび複数の製品事業間でバランス化された意思決定が採用されやすいことを示唆している。